剣道で面の下に被る手拭い!その意味と柄の選び方とは?詳しく解説

剣道で面の下に被る手拭い

剣道で面を被る時に使う手拭いを剣道用語で面タオルや面手拭いとも言います。剣道の洋品店でも沢山の手拭いを扱っていますが、通常の手拭いとどう違うのでしょうか。そもそも手拭いを被るのは、汗止めのためだけではありません。今回は、剣道での手拭いの意味について、また手拭いの柄や文字の意味ついて説明していきます。
 

剣道と手拭いについて

面の下に被る手拭いを剣道では「面手拭い」「面タオル」「面下」などと呼んでいます。呼び名は地域によって、道場によって違うので「面下」なんて聞いたことがないというひともいれば、タオルではなく手拭いなので「面タオル」とは呼ばない思う人もいるでしょう。
 
余談ですが手拭いとタオルはどちらも綿が主流ですが、生地の織り方が違います。手拭いは平織といって水平方向に縦糸横糸が交差して出来ています。タオルはパイル地といって厚みのある方向に糸がループして編まれているため厚みがあるのです。
 
さて、通常の手拭いと剣道用品店で扱っている手拭いには綿でできていることや織り方は同じですが、1枚のサイズの違いがあります。一般的な手拭いはおよそ33㎝×90㎝です。たいして剣道用の手拭いはおよそ33㎝×100㎝と長くなっています。
 
頭に巻くのに、一般男性の場合には巻き方によっても変わりますが90㎝では足りないことがあるため、剣道用のものは100㎝になっています。100均でも手拭いを売っているようですが、さらに小さいサイズになっているのが一般的です。小さいお子様にはちょうどよいかもしれません。
 

手拭いの巻き方とは?

手拭いの巻き方もよく見てみると道場によって異なっていることがあります。これが正解というのではなく、巻き方はそれぞれです。
 
歴史的にみると手拭いは、平安時代の頃にはすでに貴族の間で使われていたようですが、民衆が使うようになったのは江戸時代になって綿が大量に生産されるようになってからとされています。江戸時代には、職業ごとに柄や巻き方を変えていたそうです。瓦版屋の巻き方、魚屋の巻き方、祭りの巻き方とそれぞれ工夫を凝らしていたようです。
 

剣道の手拭いはどれを選ぶと良いか

手拭いにはさまざまな柄や文字が描かれています。とくに剣道で使う場合にはトンボ柄や「守破離」などの熟語が書かれた手拭いに人気があります。ここでは、柄や文字それぞれどのような意味があって使われているのか説明していきましょう。見た目でも良いのですが、意味が分かると手拭い選びがより楽しくなるのでぜひチェックしてください。
 

手拭いの絵柄について

まずは絵柄の種類について説明していきます。非常にシンプルなもの、無地無色で真っ白のものが晒(さらし)です。これを藍など単色で染めたものが無地。真ん中で斜目に半分染められたものを半染めと呼びます。手拭い前面に柄を配したものを総柄といい、晒の一部に動物や昆虫、植物などを描いたものを白地と呼んでいます。
 
以下はとくに総柄や白地で使われるモチーフについてご紹介します。
 

トンボ柄

剣道とトンボは相性が良いのです。古来トンボは、その羽音がカチカチと聞こえるためカチ(勝ち)虫と言われ、ゲンが良いため武士に大変好まれた生き物です。またその飛び方が上下左右前と機敏に動きますが、後ろには引かないというところも武士道に通じていたと言われています。
 

菖蒲柄

菖蒲(しょうぶ)と勝負を掛けていること、そして勝負に花が咲くという良い意味でゲンを担いでいるため人気が高い花柄です。花では、桜も人気の柄です。これは室町時代に「花は桜が一番、人は武士が一番」と言われていたことと、桜は散り際が美しいということで武士に人気があった柄となっています。
 

麻柄・ウロコ柄・青海波(せいがいは)柄

幾何学模様の麻柄とウロコ柄は、どちらも魔除け・厄除けの効果があると伝えられてきた柄です。波の模様の青海波柄は、古代ペルシャが発祥と言われていて中国を通じて飛鳥時代に日本に伝わったと言われています。波(海)は広大で無限に繰り返すことから、未来永劫や平安といった意味を持っています。
 

手拭い柄の文字の意味

手拭いの柄には、さまざまな文字や熟語が入っていることが多くなっています。ここからは、文字・熟語でよく使われる言葉について説明します。
 

平常心(へいじょうしん)・不動心(ふどうしん)

平常心とは、危機や思いがけない想定外の事態に対しても、日ごろと同じ状態で対処できる心のあり方、状態を言います。不動心は平常心からさらに進んで、自分を見失うことなく強い意志を持ち続ける心の在り方です。
 

百戦錬磨(ひゃくせんれんま)

百は100ではなく「数多くの」という意味、練磨は磨き上げること、鍛え上げることを意味しています。つまり、沢山の実践・経験を積んで鍛えているということを示しています。
 

守破離(しゅはり)

守破離は修行における学びの姿勢、その段階を示す言葉です。守は先生の教える型、技を忠実に守り修練して身に着ける段階を、破は他の先生や考え方についても耳を傾け、良いものを取り入れ自分のものとして発展させる段階を、離は先生の教えから離れて自分の型・技を作り出し確立させる段階を表しています。
 

まとめ

剣道の稽古において面の下に被る手拭い。面タオル、面下などとも言いますが、必ずしも剣道用のものでなければならないわけではありません。ただ、成人男性の場合には剣道用の長いものが便利です。柄についても説明しましたが、自分のかっこいいと思うものを選ぶと稽古にも身が入るものです。
 
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